耳垢(みみあか)・耳掃除
耳掃除は気持ちがよく、ついつい耳かきや綿棒を手にしてしまいますが、耳垢の除去は医学的にみて有益なのでしょうか?耳垢にも役割があります。
耳垢と聞くと、耳から出る排出物といったイメージを持つと思いますが、実は耳の保護のためにあるとの説もあります。その説によれば、耳垢の本来の目的は清潔を保つことで、ほこりや汚れから鼓膜を守るだけでなく、抗菌性もあって外耳道の表面を保護しているというのです。また、耳垢は外耳道でも入口に近い部分にできますから、食事をしたり、おしゃべりをしたりして、あごを動かすことで外耳道から自然に出ていくようになっています。そもそも耳垢は「外耳道と鼓膜の保護・乾燥防止」「細菌・真菌に対する感染・防御」「昆虫の侵入防御」という役割を担っています。
<プロの耳垢の取り方>
ガチガチにへばり付いている奥のほうの耳垢を無理矢理取ろうとすると、
耳の壁に傷がついてしまいます。病院で、耳垢水(水と油の両方の性質をもった成分)を点耳薬としていただいて、耳垢を柔らかく、剥がれやすくしてから取り除いていただきます。使う道具も、耳用綿棒以外に、耳用ピンセットや、吸引器、耳垢鉗子、耳垢フックなどがあり、どこにどんなふうにどんなタイプの耳垢が付いているかによってこれらの道具を使い分けています。
<耳垢に個人差あり>
耳垢は耳の穴の壁から分泌物に、剥離表皮(古くなって剥がれた皮膚)が加わってできています。湿ったタイプの耳垢か、乾いたタイプの耳垢ができるかは、遺伝に関係があります。日本人は乾燥したタイプが8割、湿ったタイプが2割です。
- 乾燥タイプ :ぱらぱらになりやすく、放っておいても自然に外に出てきやすいタイプですが
- 年輪のように固まってしまうこともあります。
湿ったタイプ:耳掃除の時に、逆に奥につめていってしまうことがあります。
「みそ」のようにべとべとして取りにくいことがあります。
<耳鼻科でのお掃除>
耳垢は放っておいても自然に出てくる場合が多いので神経質に掃除をする必要はありませんが、耳垢の性質によっては定期的に耳鼻科を受診される方もいます。
小さなお子様の場合、耳穴が狭く、子供用の綿棒を使っても耳垢を押し込む結果をなり、急に動いて耳を傷つけることもありますので耳鼻科でのお掃除をお勧めします。子供が寝ている間に耳掃除をする方もいらっしゃいますが、じっと寝ているとは限らず危険です。湿性耳垢の方、代謝の早いお子様、高齢者の方、外耳道が狭い方などは、耳垢が溜まりやすく、このような方は定期的な耳掃除が必要です。